【おつまみ物語vol.3】ついに完成!常温保存可能なかまぼこの熱き開発裏話(三陸フィッシュペーストさんの「旅するかまぼこ」後編)

おつまみ 和酒パッケージ

おつまみ物語第3弾は、「旅するかまぼこ」を製造販売する三陸フィッシュペーストさんインタビュー後編です(前編はこちら)。

インドネシアに飛び立ち、「常温保存できるかまぼこを作りたい」という想いをもった斎藤さん。帰国後の挑戦に迫ります。

 三陸フィッシュペーストさんとは?

2社の老舗かまぼこメーカーが手を組み、新しいかまぼこの可能性と価値を追求し、その仕組みや商品の研究開発をすべく設立されたベンチャー企業。「子供たちの笑顔のために」を理念に掲げ、より多くの子供たちが安心できる、より安全な食品を作り続け、若者が楽しんで取り組めるモノづくりのモデル企業になることを目指している。
URL:https://sfp-ok.com/

「旅するかまぼこ」とは?

不可能と言われた「かまぼこを常温保存する方法」を開発し、業界に革命を起こした常温かまぼこ製品。もぐもぐプレーン、うまうま牛タン、すきすきチーズの3種類がある。 

 

かまぼこの新たな可能性を探るべくインドネシアに飛び、溢れる想いをもって帰国した斎藤さん。

さて、ここからどう動いていくのか・・・?後編の始まりです!

かまぼこの命である「弾力」をどう出すか

一般的に、かまぼこは「お土産品」として使われることが多い商品です。ただ、同時に要冷蔵製品なので、特に夏場は長時間持ち歩けません。

お土産で買うものなのに、保存が難しいという矛盾をなんとか変えたいと思っていました。かまぼこを常温保存できるようになれば、先のインドネシアで見た現状の打破も、「持ち歩けるお土産作り」という意味でも、効果があると考えました。

ただ、そこで一番頭を悩ませたのは、「弾力」でした。

かまぼこを常温でも食べられるようにする手法はいくつかあるそうなのですが、その中で斎藤さんたちは「レトルト加工」という、缶詰などに使われる手法で開発を開始。

密閉したパックを120度で4分以上加熱すると、食中毒の原因となるボツリヌス菌が完全に死滅し、蓋を開けるまで半永久的に日持ちする。これがレトルト加工というものです。

ただ、このレトルト加工最大の問題は・・・過加熱するとかまぼこの弾力がなくなるということ

かまぼこの売りは、なんと言ってもその弾力。

かまぼこは魚肉に塩を加えてすりつぶしたものを焼いて作るのですが、魚肉に塩を加えることで筋原線維たんぱく質が溶けだします。それらが複雑に絡み合った上で熱を加えることで、ほぐれない構造となり、あの弾力を生むのです。

かまぼこを焼く機械。左に見える赤い箇所で焼き、そのまま移動し、右側の白いロールの箇所で焼いたかまぼこが取り外されます。

なのに、常温保存に必要なレトルト加工をすると、かまぼこのあの弾力がなくなってしまう。

だから、最初の頃の試作品はどれもべっちゃべちゃ。とても食べられるものではなかったそうです。

そこから二人は、タンパク質の絡み合い(タンパク質の「結合」)を促進させる酵素を加えたり、過加熱にならないギリギリの温度調節、熱を加える時間の調節を行い、「これだ!」という時間と温度を探し当てる日々が続きます。

また、原料にも大きなこだわりがありました。

かまぼこの原料はスケソウダラ(スケトウダラ)というお魚です。名前はもちろん知っているけれど、どんな魚なのかイメージできず、ググってみました。こんなお魚でした。背びれが特徴的ですね。

スケソウダラにはグレードがあります。良いスケソウダラは、たんぱく質の質が良いので前述の「たんぱく質の結合」が起こりやすいんです。逆に、グレードが低いものは不純物が含まれているので、結合が起こりにくい。となると、グレードの高いスケソウダラを使わなければなりません。

「たんぱく質結合の促進酵素」と「加熱温度/時間」そして「原料」。3つの課題に向き合うこと1年超。

ついに、加熱殺菌で常温保存できるのに、弾力がある。そんなかまぼこを作ることに成功します。

これはもう、かまぼこ業界の大発明と言っても過言ではないくらい、すごいことだったそうです。

その時のことを振り返りながら、斎藤さんがおっしゃっていました。

「一社でやっていたら、この技術ができるまでにもっと時間がかかったはず。及川さんと一緒だったからできた」 

老舗かまぼこメーカー2社が協力することで、作成可能なサンプル量も倍になり、双方の独自技術を持ち寄り、1社ではできないスピードでこの技術を完成させたそうです。

開発は三陸フィッシュペースト、製造は株式会社及善商店さんが実施している。写真は及善商店の皆さん。パッキングや出荷は株式会社かねせんが実施するなど、業務を分担して行っている。

 そして、2019年1月。

満を辞して「旅するかまぼこ うまうま牛タン」と「旅するかまぼこ チーズ」の販売を開始します。また、かまぼこにホタテがのっている「ほたての」を販売。

ひとつのかまぼこの上に国産のほたてがまるごと2個乗っている、贅沢なかまぼこおつまみ。ほたての味がかまぼこに染み込み、とても美味しいとのこと。

牛タン味とチーズ味に遅れをとること9か月、2019年10月にプレーン味(もぐもぐプレーン)を販売します。

プレーン味だけ販売が遅かったのにも、理由があったそうです。

「本来のかまぼこの味が試される。ごまかしが効かないんですよ」

チーズや牛タンのように味を追加するものではないので、納得のいくかまぼこの味の追求に、最後まで試行錯誤されていたそうです。 

「冷蔵ケースに入れる必要のないかまぼこ」 の革新性

旅するかまぼこができたことで、その売り方も売る場所も、大きく変わったそうです。
通常のかまぼこは要冷蔵商品ですから、もちろん「冷蔵ケース」があるところにしか売ることができません。

冷蔵ケースの大きさ(つまり入れられる商品数や面積)は限られているため、冷蔵ケースのスペースを、他の商品と奪い合うことになります。
しかし、常温保存できることにより、かまぼこを置ける場所が格段に広がります。雑貨屋さんや駅の構内の売店といった、ちょっとしたスペースで取り扱ってもらえるようになったそうです。

今までは考えられなかった売り先ができました。 
そして、お二人の強い想いでもある外国の方への販売も開始。

「自分の国に持って帰れる日本のお土産」として、空港の国際線ターミナルでの販売が実現します。

あたり前ですが、国際線のフライトは長時間になるため、冷蔵品のかまぼこを売ることはできませんでした。

常温だからこそできることが、無限大に広がっていったそうです。 

かわいいパッケージに隠された想い

はじめて旅するかまぼこを見た時、なんてかわいらしいパッケージなんだろうと思いました。

かまぼこは「大人のもの」というか、落ち着いたイメージを持っていました。こんなにポップなパッケージにしたのには理由があるはず。そう聞いてみると・・・

 「おっしゃる通り、従来のかまぼこは渋いイメージでした。商品を買っていただける方の年齢層も高めです。ただ、今後の人口減少を考えると、年齢層の高い人だけをターゲットにしていては生き残れません。」

若い世代にもかまぼこを認知してもらい、その美味しさを知ってもらいたい。そんな思いから、「家族連れの旅行客のお土産として手にとりやすいもの」をテーマに、パッケージを作ったそうです。

だから、こんなにポップで可愛らしいんですね。

今後の展望・・・ターゲットを人から魚へ!?

旅するかまぼこの話をたくさんお聞きし、「今後はどんなところに注力していかれるんですか?」と聞いてみると、斎藤さんの目線はもう先の先。

旅するかまぼこは「家族連れの旅行客のお土産」シーンでの利用を想定して作られましたが、現在は、さらに利用シーンに特化した新しい商品を考えていらっしゃるそうです。

今取り組んでいるのは、来月発売予定の「#ぷるかまんシャッド」という商品。

なんと、魚も人も食べられる「魚肉ルアー」を開発されたそうです。(一瞬理解できなくて、何度も「え?ルアー?魚釣りの?」と聞いてしまいました)

活きエサと疑似エサのハイブリットとして作られた魚肉のルアー。メイン素材は魚由来のタンパク質なので、海に還って地球環境にも優しい。おいしいので魚が喰いつき、人も食べられます。

クラウドファンディングサイトのマクアケでも100万円以上を集めている、大注目のプロジェクトです。(販売開始は6月を予定)

「今までさんざん海にお世話になってきたから、今度は海のために何かしたい。」

そんな思いで、魚のことを知り尽くした斎藤さんたちは、今日も新しい取り組みに奮闘されています。

三陸フィッシュペーストの斎藤さんから皆さんへのメッセージ

最後に、斎藤さんからメッセージをいただきましたので、ご紹介させていただきます。

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 かまぼこは、魚肉タンパク質を使っているので脂質も低く、ヘルシーです。懇親会の場でも、ためらいなく、罪悪感なく、ぜひたくさん召し上がってください。

かまぼこには、900年の歴史があります。かまぼこ製品が日本の歴史に初めて登場するのは、平安時代の1115年です。当時の古文書に宴会料理のスケッチがあり、その中にかまぼこが記録されています。そのため、この年号にちなみ11と15を分け、11月15日が「かまぼこの日」になりました。よかったらぜひ覚えてください!

かまぼこには、まだまだ大きな可能性があると信じています。

ぜひ、わたしたちの旅するかまぼこをお楽しみください。=============================================================

画面越しでも、しっかりと斎藤さんのお人柄と熱意が伝わってくるインタビューでした。

斎藤さん、お時間いただき本当にありがとうございました!今度はぜひ対面でお会いしたいです。

引き続き、よろしくお願いします。


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