【おつまみ物語vol.8】二人三脚で「自分たちにしか作れない商品」を作る夫婦の物語(「さくらんぼと米粉のパウンドケーキ」の相川ファームさん)

おつまみ 喫茶パッケージ

おつまみパッケージに入っているこだわりのおつまみをご紹介するこの企画。今回は、喫茶パッケージに入れさせていただいている「さくらんぼと米粉のパウンドケーキ」をご紹介します。

相川ファームの菅さんに、インタビューさせていただきました。

相川ファームとは?

秋田県湯沢市に拠点を置く農業生産法人。環境への配慮と安全性を大切にしたお米やさくらんぼづくりに取り組む他、さくらんぼワインや米粉のパウンドケーキなど、相川ファームで収穫した農産物の加工、販売までを一気通貫で実施している。

「さくらんぼと米粉のパウンドケーキ」とは?

自家栽培のさくらんぼである佐藤錦とあきたこまちの米粉で作られた、しっとり甘酸っぱいパウンドケーキ。甘すぎず、素朴な味わいで、お茶請けにぴったり。

安心安全な美味しい農作物を「直接」お届け 

相川ファームは、2009年に設立した農業生産法人です。

主な栽培品はお米(あきたこまち)とさくらんぼ(佐藤錦)。自社内で出荷まで含めた全ての工程を担い、お客様の元へ直送しています。

しかし、お客様へ「直接」商品を届けるということは、それだけの責任が伴うことでもあります。

そこで、相川ファームが大切にしているのが、「食べる人に驚きと喜び、そして笑顔を提供したい」という想い。

安心、安全を大前提とした低農薬、有機肥料使用にこだわった畑・田んぼづくりに加え、お客様に一番美味しい状態でお届けするために、お米は自社内で精米の上、適切に管理されたものを、さくらんぼは完熟したものを選び抜き、朝採りで発送しています。

また、農産物の栽培にとどまらず、「さくらんぼワイン」や「さくらんぼと米粉のパウンドケーキ」など、相川ファームで収穫した農産物を加工し、販売まで一気通貫で行う6次産業化にも積極的に取り組んでいます。

今では全国にファンを持ち、遠方から学生が視察に訪れるほどの農場となった相川ファームですが、代表の菅さんはもともと弁護士を志していました。その後、ご家族の強いご希望により、ご実家の家業である農家を継ぐ決意をされますが、自らの決断に迷いや不安を覚えることもあったそうです。

しかし、奥様と2人で先祖代々の畑や田んぼを一生懸命耕し、大切に育てた農作物をお客様の元にお届けするたびに届く、「ありがとう」「こんなに美味しい作物は初めて」という声を聞いて、次第に農業の魅力に取り憑かれていきました。

その一方で、現代の農業が抱える課題も見えてきたと言います。個人経営ではなく、株式会社化することになった背景には、菅さんの農業に対する強烈な危機感がありました。

代表の菅さんと、スタッフのみなさん。有機肥料使用、低農薬で栽培されたあきたこまちは、全国にファンを持つ。

従来の農業からの脱却ー6次産業の農業生産法人へ 

菅さんが農家を継いだ際に抱えていた危機感は、大きく3つ。 

まず「人口減少」。

人口減少が進み、農家のなり手が減っていることが全国的に問題になっていますが、それは秋田でも例外ではありません。地域で農作業を手伝ってくれる人がどんどん減っていったそうです。

次に「社会環境の変化」。

今までは家族ぐるみで農業を行う昔ながらの「家内工業的な農家」でも食べていけましたが、この時代において、その従来のスタイルでは、だんだん採算が合わなくなってきました。菅さんの周囲でも離農する人が大きく増えたそうです。

さらに「耕作放棄地の増加」。

人口減少や社会環境の変化によって農業のなり手が減ることは、同時に畑や田んぼを管理する人がいなくなることを意味します。必然的に耕作放棄地の問題が生じてきました。

そのような状況下において、菅さんは、

「これからは、"作るだけの農業"では厳しい。どんなお米やさくらんぼが求められているのか、"消費者ニーズに応えられる農産物"を作らなければならない」

という確信とも言える想いを持つようになりました。

これらの課題に対する答えとして菅さんが導き出した結論は、「法人になり6次産業で勝負する」でした。

大企業が真似できないオリジナル商品で価値を出す

会社として新たなスタートを切った相川ファームが取り組んだのは、自社オリジナル商品の開発でした。

農業をしていると、規格外品など、味は同じであるのに、どうしても出荷できない農産物が発生します。

「市場流通にのせられない農作物を廃棄するのではなく、付加価値をつけて販売できないか」ということで、自社商品の開発に乗り出します

その際、大きな企業と同じ土俵で戦っては勝ち目がありません。大企業にとっては効率の悪い、手間暇かかった商品をつくることで、価格競争に飲み込まれない価値を生み出すことが必須でした。

また、超えなければならないハードルは他にも。それは「賞味期限」。例えばさくらんぼは旬が限られており、賞味期限も短い。

だからこそ、賞味期限が長く、常温保存できるものであれば、地域を超えて全国のお客様に商品をお届けすることができます。

そして、目をつけたのが、さくらんぼを使った商品の開発でした。

「宝石」と称される大粒の完熟さくらんぼ、佐藤錦。枝数を少なくし日当たりを良くすることで、大粒の甘みのあるさくらんぼができる。

収穫時期を過ぎても楽しめる、さくらんぼの冷凍保存 

さくらんぼは収穫時期が春と限られています。そこで、菅さんは旬のさくらんぼを瞬間冷凍し、その美味しさを保ったままの加工商品を作ることを考えました。冷凍しておけば、さくらんぼの季節をすぎても、年間を通じて安定的な商品供給が可能になります。

県の総合食品研究センターや県内企業の協力を仰ぎながら、秋田県産サクランボの100%果汁を使ったワインを開発することに成功しました。国産のサクランボを天然酵母で発酵させたワインは全国で初めてだったそうです。

開発したワイン「さくらんぼの、あわ」。鮮やかな赤色とほのかな甘み、さわやかな微炭酸が特徴。県オリジナル酵母の「秋田美桜酵母」で発酵することで、添加物を加えずに華やかな香りを実現。

この商品は日本経済新聞に取り上げられるなど、大きな話題を呼んだそうです。

試行錯誤の連続・・・パウンドケーキ開発秘話

その後、菅さんは新たな商品開発に取り組みます。

どんなものを考えられたんですか?と聞くと、

「いやあ、商品開発は・・・本当にいろいろ試しました」というお答えが。

色々な企画を立ち上げては、あれはだめ、これもちょっと、という試行錯誤の連続だったそうです。

自社の自慢の農産物であるお米から作った「米粉」と「さくらんぼ」をどうにかマッチングできないか、そんな思いで数多くの企画を考え、「これはいいのでは?」と手応えを感じたのがパウンドケーキでした。

さくらんぼは、ワインと同様、瞬間冷凍して丁寧に種を抜いて取っておいた果肉を使います。

そして、もう一つこだわったのが米粉。原料のお米は、相川ファームで作っているあきたこまちを100%使用しています。米粉を使う背景には、「米の消費拡大を新たな形で実現したい」という課題意識もありました。

日本でもパン食が一般化したことで、米の消費量は年々減少傾向にあります。「ごはんやおにぎり」という形だけでない新たなお米の活用方法という観点で、米粉を使うことに決めました。

しかし、実際の試作品作りが始まると、これまた苦労の連続。菅さんの奥様がメインで開発に取り組まれたそうですが、次から次へと難題が発生し、その解決に奮闘する日々だったそうです。

例えば、パウンドケーキはどうしても賞味期限が短くなります。しかし、それでは、当初掲げた目標の「全国のお客様にご提供すること」が難しくなります。

試行錯誤の上、パッケージを一つひとつ真空パックにすることで、十分な日持ちを実現。日本全国に展開できる製品になりました。

他にも、相川ファームが位置する秋田県は、冬は寒く、夏は暑いという気温差の大変激しい地域です。そのため、米粉の発酵菌を活性化させるための温度管理や水量調整がとにかく大変だったそうです。

ベストな温度と水量は、その日の気温や湿度によって大きく変わります。「その日のベスト」を常に見極めるため、何度も挫折しそうになりながら、向き合ったそうです。

そうして完成したベストな配合は、今も奥様とスタッフの方が、その日のコンディションを肌で感じながら微調整をされています

こうして、ついに、生産、加工、販売全てを自社で完結できる、相川ファームでしかできないパウンドケーキが生まれました。

おつまみデリご利用者様へのメッセージ

最後に、菅さんからおつまみデリのご利用者様にメッセージをいただきました。

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このパウンドケーキは一言で言いますと、「私の妻の汗と涙の結晶」です。
安定した商品作りを実現する過程で、幾度も挫折しそうになりながら、
ときに私も励ましつつ、ようやく完成させました。

「何度も、もう無理かもしれない」と妻が悩む中、「せっかくやってみたんだから、もうちょっとだけ頑張ってみようよ」と背中を押す日々でした。

さくらんぼのしっとり感と米粉の自然な甘さは、他のメーカーやお店ではなかなか出せない「手作りならではの商品」に仕上がったのではないかと思います。
愛情を込めてつくったパウンドケーキを、是非ご賞味ください。

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相川さん、お忙しい中ありがとうございました!

引き続き、よろしくお願いいたします。


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